筑波大学大学院
人文社会ビジネス科学学術院
ビジネス科学研究群
法学学位プログラム

筑波大学大学院では、社会人が仕事をしながら通える大学院として2つの学術院に12の学位プログラム・専攻を設置しております。

ご挨拶

現代はひとつの原理や価値に従えばすべてが解決するといった単純な構図ではなく、多元的で多様な価値や考え方のせめぎ合う複雑な問題を解きほぐすことが求められております。社会で活躍されている皆さんは既に専門分野を有していると思います。そうした皆さんが、経営学領域や法学領域において、先端の理論や高度な思考を修得すると共に、ビジネスの場で得た知識や経験を体系化して、現代社会におけるさまざまな課題を再構築できるようにサポートすることが、本研究群のミッションだと考えております。


筑波大学のスローガンは”Imagine the Future”です。このimaginationには問題解決能力という意味もあります。皆様が、ご自身のテーマをもってビジネス科学研究群に入られ、ご自身のimaginationへ挑戦をして頂くことを心からお待ちしております。

筑波大学大学院
人文社会ビジネス科学学術院 ビジネス科学研究群長
大渕 真喜子

法学学位プログラムのご案内

社会経済のグローバル化と経済取引の高度化が進む中で、企業はこれまで以上にコンプライアンス(法令遵守)やガバナンス(企業統治)の強化が求められてきています。また、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの科学技術から、芸術・ブランド・プライバシーの領域にまで法の問題が存在感を増しています。
法学学位プログラム(博士前期課程)は企業法学専攻を前身とし、企業や組織が抱える課題を専門的に研究し、働きながら学位を取得できる大学院として30年余りの豊富な経験と実績を誇ります。これまでの経験で磨かれてきた現代法学各分野の先端を担う教員達による充実した指導と、社会人が学びやすい環境づくりで、企業法務の新しい地平を切り開ける能力を育てています。

筑波大学大学院の特長

POINT.1

社会人にも通いやすい
首都圏/夜間開講型大学院

ビジネス科学研究群は多忙な社会人院生にも通学しやすい好立地(東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅徒歩3分)に開設されています。また、講義は平日夜間(18:20~21:00)および土曜日の開講であるため、社会人院生にとっては仕事との両立が図れます。

POINT.2

マンツーマンの論文指導体制

指導教員のアドバイスのもと、各人のテーマに適した履修計画を作成することにより、効果的に学習・研究を進めていくことが可能です。院生に対する教員数の比率がきわめて高い大学院です。各院生に対してマンツーマンで、論文の完成をサポートします。

POINT.3

2年コース。
但し、最長6年の在籍も可能。

法学学位プログラムは大学院修士課程に相当するため、通常2年在学することが必要です。しかし異動や転勤などで修学が困難になった場合には、2年の休学期間と合わせて最長6年の在籍が可能です。忙しい社会人のための学習体制が整えられています。

専門性を高めるコース選択

法学学位プログラムは、法学を学ぶ上で基礎となる文献学や比較法といった共通科目に加えて、社会人ニーズと学問的特性にあわせて履修の重点領域を設定した専門科目を多数開講しています。自らの興味関心や研究テーマ、職業上の必要に応じて自由にカリキュラムを組むことができ、重点的・効率的に履修をすることができます。さらに、博士後期過程へ進学する道も開かれています。

■基本情報

取得学位 修士(法学)
募集定員 33名
授業時間 平日=18:20~21:00 土曜=10:20~19:35
入学科 282,000円(2021年度参考)
授業料 前期分267,900円 後期分267,900円(2021年度参考)
その他 入学料免除制度 授業料免除制度
日本学生支援機構奨学金 教育訓練給付制度

教員メッセージ

  • ビジネスサイエンス系 教授
    栗原克文(税法)

    当プログラムの税法コースには、勤務先企業で税務関係の業務に従事している学生も多く、履修を終えた修了生からは、
    ①従事している税務業務の意義を体系的に理解できた
    ②税務分野の国際的な潮流などを理解し視野が広がった
    ③他の税法との関連や周辺領域の法律の理解が深まり
    問題意識を持って業務に取り組めるようになった
    ④論文作成を通じて、提言したい解決策を論理的に表現する力が身についた
    といった感想が聞かれます。

  • ビジネスサイエンス系 教授
    木村真生子(商法)

    法と実務の間には溝がある。この溝はなぜできてしまうのか。日々の業務で感じている疑問は、ひょっとすると現場で実務を知る者にしか気づくことのできない重要な法律問題を含んでいるかもしれません。
    論文指導では、学生の持つこうした疑問が意義のある研究テーマとなり得るのかどうかを見極めてもらい、独自性のある研究分析の視角を見いだせるように様々なアドバイスをしています。また学生は5万字もの研究論文を書く中で、論理的な思考力を着実に身につけていきます。
    DXが進展する今後の企業社会において、理性的な目で主体的にAIを利活用できるような企業の人材育成を支援しています。

  • ビジネスサイエンス系 教授
    岡本裕樹(民法)

    本学で民法を履修した方から、次のようなお声を頂いています。
    ①契約書や行政庁からの通達・資料の理解度が上がった
    基本的な法律用語の意味や使い方、判例・通説の解釈を修得し、日々の業務で接する書類をより正確に読解できるようになります。
    ②最新の法規定や判例の趣旨に沿った法的な根拠を示して説明できるようになった
    研究会・演習の際に法理論を用いた理由付けのノウハウを修得し、契約書・内規に関する社内説明や、取引先・行政庁との交渉・折衝の際に、俯瞰的見地から生産的かつ説得力のある説明ができるようになります。
    ③法的資料のリサーチスキルが上がった
    課題・論文執筆への取り組みを通じてリーガルリサーチツールの使い方を修得し、業務上の課題に関する主要な研究者が誰であるか、関連判例・論文、公文書等をどこで入手できるか等につき、探索が容易になります。

  • ビジネスサイエンス系 教授
    川田琢之(労働法)

    私の専門分野である労働法の分野は、労働時間の見直しや同一労働同一賃金などの働き方改革、あるいはメンタルヘルスに関わることなど、今の日本の経済・社会情勢がダイレクトに反映されている分野です。
    授業ではそうした今日的な新しい問題を積極的に取り入れるように心がけ、なるべく多くの時間を質疑や討論に割いて、一人ひとりが持っている現場感覚を法的な観点で考えられるようになることを意識しています。
    また、院生たちはキャリアも年齢もさまざまな多忙な社会人です。マンツーマンで行っている研修指導では、その人の置かれている状況に合わせてベースを考え目標を設定するなど、社会人大学院のパイオニアとして培ってきたノウハウを活かして、一人ひとりが少しでも学びやすくなるような指導を心がけています。

修了生の声

  • 体系的な法理論の修得が、
    ビジネス法務で役立つ実践力に
    加藤 崇司

    近年の企業法務部門にあっては、訴訟・係争対応や契約審査・コンプライアンスといった伝統的な領域に留まらず、経営法務・戦略法務といった新しい領域も併せてカバーすることを当然のように求められています。法律専門知識そのものは言うに及ばず、筑波大学大学院での修学を通じて獲得できた「法的思考体系を用いた多角的かつ高度な視点からの問題解決能力」こそ、ビジネスの実務、特に新領域での実務に活用できている最大の収穫物です。

    〔PROFILE〕
    J. フロントリテイリング株式会社 法務部長(2017年~)
    1995年名古屋大学法学部卒業、
    同年松坂屋(現大丸松坂屋百貨店)入社。
    2010年司法書士試験合格(未登録)。
    2014年企業法学専攻修了(修士)。
    東京株式懇話会 評議員 部会部第1部担当常任幹事

  • 自分の興味のままに学ぶ対象を
    広げられる場所が「筑波」だった
    高橋 良裕

    弁護士業務は、委任事務処理や制度運用に自らの知恵や工夫を活かせるのでやりがいがありますが、あらためて物事の本質や考え方の基本にた立ち返って理解を深めたいと思うようになりました。また、日々遭遇する事件やその時々の立場に囚われずに興味のままに学ぶ対象を広げたいと思ったのが大学院受験のきっかけです。筑波大学の社会人大学院は、その点、弁護士による実務色の強い講義ではなく、理論面を重視した講義を行っています。また大学院が通学に便利な立地にあることも、筑波を選んだ理由の1つです。

    〔PROFILE〕
    あぽろ法律事務所 弁護士
    早稲田大学大学院法学研究科修士課程を修了した後、弁護士として相当期間法律実務を経験。2013年に企業法学専攻に入学。

  • たゆまぬ努力を続け、
    社会に貢献できる実務家へ
    山梶 由美子

    租税法や会社法等を基礎から学ぶことができるのが、大学院のメリットです。特に筑波は、専門の先生方の講義を直接受けることができ、特別講義も充実しています。そして何より同じ目的に向かう仲間ができることは最大のメリットだと思います。租税法を基礎から学んだこと、判例や法律解釈の力を養うことができたこと、前向きな仲間ができたことが、この大学院でつかんだ一番の財産です。修了後は、クライアントに喜ばれるだけでなく社会に貢献できる実務家となるべく今の努力を続けることこそ重要だと思っています。

    〔PROFILE〕
    税理士法人K・T・Two 代表社員
    税理士・ファイナンシャルプランナーとして大手税理士法人、コンサルティング会社に在職。2013年に企業法学専攻に入学。現在は、資産税を中心に、上場会社・非上場会社オーナー等の相続対策・事業承継対策等に従事。

  • 研究発表や論文作成を通し
    広い視野での実践的な課題解決を実現
    柴田 崇志

    筑波大学社会人大学院の最大のメリットは、修士論文の作成を通じて、自らの意見を洗練させることができる環境に出会えることです。専門性の高い丁寧な研究指導も魅力ですが、ゼミでは研究発表等の機会が設けられており、それぞれのフィールドで活躍している社会人との活発な意見交換を通じて、自らの問題意識を納得のいくまで突き詰めて考えるという貴重な経験ができました。これらの研究活動等を通じて、企業をめぐる法律問題について、法的課題を適切に発見し、多角的に検討する力を養うことができたと思います。現在、会社では、金融商品の上場制度の設計等を企画する業務に携わっていますが、海外の金融商品の仕組みについて比較検討を行う機会があります。新しい金融商品を調査するに当たっては、以前とは異なるレベルで、より実践的なアプローチを行うことができ、ビジネスを進める際に、社会人大学院で獲得した力を発揮できており感謝しています。

    〔PROFILE〕
    株式会社東京証券取引所 上場推進部

  • 金融ビジネスには「法律」が
    深く関わっていることを実感
    大江 彰

    仕事を通し、金融ビジネスには法律が深く関わっていること実感したのが、大学院入学を考えたきっかけです。ここは社会人が集まり学び合っているので、実務経験に基づいたリアルな討論に、教員が学術的な視点で解説していくなど、実務と理論を結びつけながら法的思考を身に着けることができます。修士論文では、暗号資産等のトークンを発行して資金調達を行うイニシャル・コイン・オファリング(ICO)をテーマに我が国の証券規制について考察を行いました。今後も、テクノロジー社会における法律問題など、新しいテーマでの研究を続けていきたいです。

    〔PROFILE〕
    筑波大学卒業後、大手都市銀行、ベンチャーキャピタル、コンサルティング会社等を経て、株式会社三菱総合研究所にて主任研究員に。2019年に企業法学専攻を修了。(現在、同博士後期課程に在学中。)

開講科目

【共通専門科目】

科目名
企業法学特別研究Ⅰ~Ⅵ
法文献学
ビジネス法入門
現代民法の基礎
現代商法の基礎
損害賠償法
中東・湾岸諸国法(イスラム金融)
金融法実務(イスラム金融)
英米法Ⅰ
法と経済学
個人情報保護法
憲法
行政法
企業法学特殊講義Ⅰ~Ⅳ
社会保障法演習
金融商品取引法演習
担保法演習
知的財産法判例演習Ⅰ・Ⅱ
国際私法演習
労働法演習Ⅰ・Ⅱ
知的財産法演習
契約法・損害賠償法演習
民事手続法演習Ⅰ・Ⅱ
租税計画演習
経済法演習
会社法演習
知的財産法演習
契約法・損害賠償法演習
民事手続法演習Ⅰ・Ⅱ
租税計画演習
経済法演習
アメリカ取引法文献購読

【専門科目】社会・経済法

科目名
労働判例研究Ⅰ・Ⅱ
労働関係法
社会保障法
企業の組織・活動と労働法
社会保障法の現代的課題
独占禁止法Ⅰ・Ⅱ
経済刑法

【専門科目】知的財産法

科目名
著作権法Ⅰ・Ⅱ
特許法Ⅰ・Ⅱ
商標法
国際知的財産法
デザイン法
不正競争防止法

【専門科目】企業関係法

科目名
契約法Ⅰ
契約法Ⅱ
消費者取引と法
不動産法
担保法Ⅰ
担保法Ⅱ
債権保全・回収法
会社法
企業会計法
金融商品取引法
支払決済法
M&A法
民事訴訟法
上級民事訴訟法
民事執行・民事保全法
倒産処理法
商事法研究Ⅰ・Ⅱ
民事法研究Ⅰ・Ⅱ
相続法
信託法
金融法
保険法
中小会社法

【専門科目】国際ビジネス法

科目名
国際私法
国際取引法
ヨーロッパ契約法
国際民事訴訟法
外国競争法
国際経済法

【専門科目】税法

科目名
実務租税法学
租税法研究Ⅰ・Ⅱ
租税手続法
租税計画Ⅰ
国際課税法Ⅰ~Ⅲ
租税争訟法
消費税法
アメリカ税法
中国税法
実務租税争訟法
相続税法

【研究群共通科目】

科目名
コーポレートガバナンス
コーポレート・ファイナンス

上記は主な開講科目です。その他、博士後期科目等を履修することができます。

入試情報

法学学位プログラムの出願資格は大学卒業者および同程度の学力があると認められた社会人で、出身学部は問いません。入学者の選抜は、研究計画書、口述試験の審査結果を総合して行います。
試験は例年9月に行われており(出願期間は7月中旬)、9月の一次募集の際に定員が充足されない場合に、2月に二次募集を行っています。

くわしくはこちら>>

アクセス

東京キャンパス文京校舎へのアクセス

筑波大学社会人夜間大学院(筑波大学東京キャンパス文京校舎)は、東京メトロ 丸ノ内線「茗荷谷(みょうがだに)」駅(M23)より、徒歩3分です。茗荷谷駅は池袋駅から4分、東京駅から15分です。

We are 3 minutes walk from Myougadani station(M23), subway Marunouchi-line. Myougadani station is 4 minutes after Ikebukuro station, 15 minutes after Tokyo station.

住所・周辺地図

〒112-0012 東京都文京区大塚3丁目29-1
筑波大学ビジネス科学等支援室教務係
Tel:03-3942-6918